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- 生活習慣病と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関連性について
相互に作用する、生活習慣病と睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧・糖尿病・心不全・脳卒中などと密接に関連します。命に関わるさまざまな病気へとつながるリスクをはらんでいるため、早期の睡眠改善や治療が大切です。
睡眠時無呼吸を有する方は、一般の方と比較して、約2倍の高血圧リスクを抱えています。また、心不全は約3倍、脳卒中は3~5倍もの多さで発症するという報告があります。
睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病との関連性が強く、生活習慣病が睡眠時無呼吸症候群を悪化させる要因になる一方、睡眠時無呼吸症候群が生活習慣病を悪化させる要因にもなります。逆にいえば、どちらかの改善がもう一方の改善にもつながるということです。
生活習慣病が、睡眠時無呼吸症候群を悪化させる
睡眠時無呼吸症候群の大きな要因の1つに、肥満があります。
10%体重が増えるごとに、睡眠中の無呼吸または低呼吸が32%増加するという報告があります。メタボリックシンドロームや糖尿病を発症している方は肥満であるケースが多いため、それらの生活習慣病の方は睡眠時無呼吸症候群を併発させている可能性があります。
周りからいびきをよく指摘される、夜中によく目が覚める、起きたときにだるい、日中に眠気があるなどの場合は、まずは一度検査をしてみましょう。
睡眠時無呼吸症候群が、生活習慣病を悪化させる
高血圧症
無呼吸の状態から呼吸が再開するとき、からだは寝ていても、脳は起きている状態になります。これを、覚醒反応といいます。寝ているときには副交感神経が優位になりますが、覚醒反応によって睡眠が一時中断され、交感神経が高まるため、血圧が上昇します。
このような理由から、米国高血圧学会や日本高血圧学会のガイドラインでは、睡眠時無呼吸症候群が高血圧症の原因疾患として位置づけられています。睡眠時無呼吸症候群は高血圧症の原因となるのです。
糖尿病
睡眠時無呼吸症候群は、インスリンの働きを悪くします。そのため、糖尿病を併発したり、すでにある糖尿病を悪化させることにつながります。
睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関連性については、詳しいメカニズムが解明されているわけではありません。しかし、高血圧症と同じく、覚醒反応が原因ではないかと考えられています。覚醒反応によって糖代謝に異常が起こることが要因ではないかと考えられているのです。
また、睡眠状態の改善によって血糖値が下がるという報告もあるため、関係性は否定できず、糖尿病の方にも睡眠の質の改善をおすすめします。